TIST Network 139
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界が直面する大きな課題の一つで、の情報システムが老朽化(レガシーシステムという)し、2025年にはメンテナンスや更新が困難となり、変化の激しいビジネス環境に対応できなくなる状況に陥ることを指しています。経済産業省では、この影響により2025年以降は最大で12兆円もの経済損失が生じると警鐘を鳴らしています。この課題の解決には、企業等がレガシーシステムから脱却すること、データとデジタル技術を効果的に活用し、顧客や社会のニーズを基に製品やサービスの提供、更にはビジネスモデルや企業組織、企業文化などを変革(再構築)し、競争優位性を確立していくことです。これらの変革がデジタルトランスフォーメーション(以下DXという)であり、政府は業界と一体となってDXの推進に向けた取り組みを行っています。政府と産業界が一体となってDXの推進に取り組んでいる中、日本におけるをとっている状況です。レガシーシステムの脱却はもちろん、ビジネスモデルや企業組織、企業文化の変革に至っていないのが現状です。2025年の崖とは日本の産業2000年代初頭に導入した企業等2021年にデジタル庁を発足し、産DXは諸外国と比較して大きく遅れ(2018)によると、DXが進まな中29位、日本として最高位であった2018年の22位から大きく後退し国際経営開発研究所の世界デジタル省のDXレポート経済産業6)」、つまり、ビ経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、デジタルパーソンが身につけるべき能力・スキルについては「DXリテラシー標準」、DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルについては「DX推進スキル標準」にて明確にしました。同指針では、社会全体のDXが加速する中、ビジネスパーソン一人ひとりのデジタルスキルについては組織・年代・職種を問わず、自らの責任で学び続けることが重要であるとしています。また、)」ジネスパーソン一人ひとりがDXに参画すること、その成果を仕事や生活で役立てるうえで必要となるマインド・スタンスや知識・スキル等の具体的な学び方が示されています。専門学校として誕生した本校は、長い年月をかけて、「ITものつくり」「自動車整備」「建築環境」「医療情報」「こども未来」「公務員」の5学科1対策科を有する総合専門学校に発展してきました。その過程においては、情報系からスタートした強みを活かし、充実」を学校全体の共通学習内容に位置づけ情報リテラシー教育を実践してきました。そして現在、2025年の崖を目の前にして、本校では新たな人材育成としてDX社会に貢献できる人材の育成に着手しています。「DXリテラシー標準」においては、ビ1987年にコンピュータとビジネスの「ITを機軸とする‚情報化教育■ののIT・デジタル教育を開始しています。DXの基本知識に加え、各専門分野でのITシステムに触れることで、就業先の「ITものつくり学科」を「ITデジタル2025年まで僅か1年半、変化)」にも2025年の崖とDXDX推進の現状と課題AgilityAgility競争力ランキングによると、2022年の日本のデジタル競争力は63か国ました。国際指標であるこの調査は、デジタル技術利活用能力を「知識」「技術」「将来への備え」の3要因から評価したもので、特に日本では「将来への備え」である「ビッグデータ活用・分析」「ビジネスの俊敏性(Business が調査対象国の中で、最下位の状況となりました。い大きな要因として、DXの素養や専門性を持った人材が不足していることを挙げています。また、世界デジタル競争力ランキング結果からも、「ビジネスの俊敏性(Business ジネスにデジタル技術をいかに迅速に活用できるか、デジタル技術を活用する人材の不足が明らかになりました。この人材をどのように育成していくかが日本の大きな課題となっています。ジネスパーソンの育成分野スキルの体系的な指標として「デジタルスキル標準」を令和4年に策定しました。この指標の中で、全てのビジネス「DXリテラシー標準」を意識したビDX社会に貢献できる人材育成総合専門学校TISTでのDX教育これまでの政府や産業界の動向を踏まえ、2023年度より本校では、それぞれの専門分野におけるDXの方向性をイメージできるための、業界ごと最新現在、政府と産業界が進めている導入されている(今後導入される)最新ビジネスパーソンとしてあるべき、DXに向けたマインド・スタンスや知識・スキル等を身に着けることを目標としています。また、2024年度には、これまでの学科」へ名称変更し、さらに「情報処理コース」については、IT化、デジタル化の先にあるDXについて学ぶ「DXデザインコース」を県内初で新設します。この新コースでは、従来のITやデジタルの「知識」「技術」の習得に加え、現在の日本が弱いとされている「ビッグデータ活用・分析」「ビジネスの俊敏性(Business Agility対応できるカリキュラムを導入し、デジタルの知見や技術を持ちつつ、変革を推進・実行できる人材の育成を目指します。の激しいDX社会で活躍できる人財の育成・排出を目指して、実践的な職業教育に取り組んでまいります。今後とも関係者の皆様方のご理解とご支援・ご協力とを、何とぞよろしくお願い申し上げます。筑波研究学園専門学校 学校長 野口孝之DX社会と総合専門学校TIST

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